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ママ・パパの悩み 育児のストレス・不安
ある絵本を読んでから「死」について関心があるよう、質問にどう答えればよいか
2歳と4歳の男の子の母です。

長男が「死」について関心があるようで、しつこく聞いてきます。「死んだらどうなるの?」「どうやって死ぬの?」「死んだらどこに行っちゃうの?」「どうしてお墓に入るの?」などなど、お星様になるのよぐらいの答えじゃすまない事もたびたびです。

事の発端は、ある絵本を読んだ時です。その本では、牧場を荒らす狼が人間に罠にはめられます。まず、ボスの狼をおびき寄せるために同じグループ内のメスの狼を捕らえそして殺してしまいます。メス狼のにおいにつられてやって来たボスもまんまと罠に掛かり死んでしまい、最後はその牧場主がお墓を作ってあげたという話だったと思います。内容が難しかったので、読んだあと少し説明を加えてあげた所、息子は大泣きし何かかなりのショックを受けていたようでした。

その後このような質問攻撃にあっているというわけなのですが、本当にどこまで真実をリアルに話したらいいものかと考えてしまいます。良いアドバイスがあったらよろしくお願いします。それと、このような本の場合どのような教訓があるのかよくわからず困ってしまいました。また必ずしも本には教訓というものがなければならないのかとも思ったりもしましたが今後どのように絵本と接していけば良いのかについても教えていただきたいと思います。
(本は「おおかみおうロボ」シートン動物記でした)

(Reiko さん)


Reikoさん、ご相談いただき御礼申し上げます。旭幼稚園、副園長の井上です。

シートン動物記とファーブル昆虫記。私も大好きな作品です。シートン動物記は、小学生の頃、父に全集を買ってもらい読んだ記憶があります。懐かしくなって本棚を探しましたら、昭和39年に発行された偕成社の全6巻、全てがありました。(父の手書きで「昭和39年2月4日購入」と記載されています。小学校3年生の頃に読んだ本でした。)

その第1巻、最初に登場しているのが「狼王ロボ」です。シートンの代表作品とも言える名著だと思います。

私は物語というもの、年齢によって「読み方」「感じ方」が変わるものと思います。ですから今、この作品を読んで見て、「死」についての部分に興味があったとしても、次に読んだときは別の感情を持つようになると思います。

人間の目から見たら、狼は牧場の牛を狙う害獣です。でも、狼が言葉をしゃべれたら、自分達の住んでいた森を焼き払い、勝手に牧場を作った人間は侵略者だ、と言うかも知れません。考えてみると、この緑の地球を最も壊しているのが私達、人間ではないか、とも思います。そんな反省も含め、この物語をまた読んでしまいました。改めてよい作品だなあ、と実感しました。

ただ、「死」という問題。これは避けて通れない問題です。世の中には様々な宗教があります。なぜ人間は宗教を信ずるようになったのか。その理由をある方(宗教関係の方)に聞いたところ、「多分、死に対する恐怖だろう」という答えが返ってきました。
死は避けられない。怖い。(誰も死後の世界を見た人がいないからです)その恐怖に打ち勝つため、「死後の世界は素晴らしい楽園なのだ」と自分自身に言い聞かせる…。それが宗教なのだ、という説明でした。何となく判るような気がします。

今は自宅で最期を迎える方は少なく「死」という問題を直面した経験がない子どもも多くいます。そんな意味で「死」という問題を、幼いながら真剣に考えるということ。この経験はとても重要なのでは?と思います。
最近はゲームなどで、相手をやっつけること。これが当然のような感覚に陥っている子どもも多くいます。ゲームでは死んでもリセットすれば生き返ります。ペットが死んだ時「電池を取り替えて」という子どももいるそうです。

しかし、本当の死はそんなものではありません。それについて真剣に考えること。
これは「今」という時を一生懸命生きることの大切さ、先祖がいて自分がいる、ということ。そして生きているものに対する尊敬と愛情、その他多くのことを感じとる絶好の機会だった、と見ることはできないでしょうか?
できれば他のシートン作品、ちょっと読んでさしあげたらいかがですか?
伝書バト・アルヌー、峰の王者クラッグ、アナグマと少年、勇ましいブルテリア、灰色グマの一生、銀ギツネ物語…。その他、素晴らしい作品がたくさんあります。

偕成社版のシートン動物記を訳された白木茂さんの「はじめに」という巻頭文、こちらご紹介させていただき、私のお返事の代わりとさせてください。

「すぐれた動物物語ほど、おもしろいものはありません。そして、すぐれた動物物語ほど、わたしたちうの胸をうつものはありません。
このシートン動物記は、そのどちらもそなえている世界の名著で、わたしたちが生きていくうえに、たいせつなことを、いろいろと教えてくれます。
わたしたちは、この本を読むと、野生の動物にも、わたしたちと、ちがわない生活があり、よろこびも悲しみもあるということに、心をうたれます。
みなさんは、この本を読んで、動物たちのふかい愛情や、すばらしい智恵を、あらためて見直すことでしょう。動物たちの世界を、もっともっと知ろうとすることでしょう。
動物の生活を理解してこそ、動物を愛する心をもつことができるのです。そして、動物を愛する心は、みなさんを、すぐれた人間に育てていくにちがいありません。」

(アドバイザー:井上智賀)


こんにちは Reikoさん 浜田です。

長男君はとても感受性が豊かで、やさしいお子さんですね。

絵本や童話などの読み聞かせにしっかり答えて、感受性豊かに成長されている様子で楽しみですね。作者の伝えたいことはあるとおもいますが、年齢によって価値観や経験が違う為にずいぶん感じ方が違うと思います。それはそれでいいのではないでしょうか。

「死」について考える機会があるなんてなかなかないと思います。
生命の不思議さや命の大切さを知らせていくいい機会ですよね。

「僕はどうおもうの?」「死んだらどこにいきたい?」と聞きながら、Reikoさんが感じることを話していいのではないでしょうか。

生き方にも通じることですから、いい機会ですよね。

(アドバイザー:浜田栄子)


Reiko さん、こんにちは。加藤田です、よろしくお願いします。

子どもが小さければ小さいほど、説明がしにくいものですね。
息子さんのショックを取り除こうといっしょうけんめいに説明しても、それはほとんど不可能です。説明されたことを理解するまでには、時間がかかります。ここは、息子さんの質問を良く聞いて、何が不安なのかを発見することが先決です。
幼い子どもにとって、死とは永久の離別とほとんど同じです。

つまり、死んだ人間や動物は、二度と帰ってこないということです。
この点をわかるように説明してやる必要があります。
そうでないと、いつ帰ってくるのかという質問を必ず受けることになります。離別に対する恐怖は、すべての子どもに共通した恐怖の一つです。
「行ってしまっても帰ってくる」というのと、
「行ってしまったら帰ってこない」ということでは、子どもの不安の度合いが大きく違います。
よって、死について説明する場合は、息子さんに対して「あなたは大丈夫なのよ」ということを十分強調してやる必要があります。
「これは絵本の中のことで、ひとつのお話であるのであるから、あなたがひとりぼっちになったり、愛してくれる人がいなくなることはないのよ」というようなことを理解させるのが大切です。

ここで、注意したいことは、「お墓」の説明の時に、死んだ狼が眠るところだとしないことです。
死は、「眠る」ことだという考えを絶対に息子さんに与えてはなりません。
説明の中で、「死」と「睡眠」を同義語に使うことは避けなければなりません。
死は一生に一度しかありません。
しかし、息子さんを含め生きているもの全てが生きている間、毎晩眠りにつきます。
息子さんに睡眠に対する不安を待たせてはならないからです。

いずれにせよ、本当の事実を教えてもらっているという確信が持てたときに、はじめて親子関係が強化され、息子さんの発達に欠くことのできない安心感が生まれるということを強調しておきたいと思います。
なお、絵本との接し方ですが、最寄りの図書館に行き、係員の方に質問されるといろいろと教えてくださると思います。

なお、何か疑問が生じたら、その時点で、また相談してください。

(アドバイザー:加藤田稔)




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