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アドバイザースタッフに聞きたい!

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24時間経営の保育所を設計するにあたって・・・
はじめまして。私は愛知県内の大学に通い、建築の勉強をしている者です。社会のニーズに合った24時間経営の保育所の設計をすることになったのですが、これからの保育所像といったものが今ひとつ見えてきません。

そこで保育のプロに、「現場から見た保育所」について教えて頂ければと思い相談しました。例えば
・保育所のココが使いづらい
・こんな部屋があれば便利
・保育所と地域の関係
・24時間経営の保育所の問題点
といったことです。

現状の社会背景から考えて保育所の増設及び24時間化といったサービス内容の拡充は必至と私は思います。貴重な意見等をお聞かせ頂ければと思います。よろしくお願いします。

(こむろゆうき さん)


樋口夕子です。
お返事が遅くなって申し訳ありませんでした。

いつも、自分の理想どおりの保育園があればいいなと思っています。
たとえば各クラスにシャワー室があればいいな、と思うのがひとつ。
赤ちゃんのお部屋にはあることが多いですが、年齢が上がるとついてないところがほとんどです。
しかし、排泄の失敗やその他にも汚れを洗い流したいことはよくあります。
シャワー室がクラスごとについてれば、便利なのではないでしょうか。

欲をいえば、食事する部屋も別にとれれば、ばたばたと片付けなくてもいいので楽かな、とも思います。

保育所と地域の関係、ということですが、商店街などを散歩して、お店のかたに協力していただいて、子どもが疑問に思っている事をたずねたり、色々見せてもらったりするといいでしょうね。
また、近くに老人ホームや障害施設があるならば、訪問するのもいいのではないかと思います。

こどもたちが、園生活をのびのび楽しくすごせるような場所を作りたいですね。

(アドバイザー:樋口夕子)


こむろゆうき さん、ご相談いただき御礼申し上げます。旭幼稚園、副園長の井上です。ご相談内容の件ですが、先ず実際に建物を建てられるのか、それとも卒業制作(卒業論文)の対象として、このようなものを選ばれたのか。そこが判りません。私は幼稚園の人間ですので、保育所関係に関しては、少々うとい部分がありますので、その点ご了承ください。

先ず「社会ニーズに合った24時間経営の保育所」ということですが、これからはこのような施設が求められているのかも知れませんね。介護保険導入以来、今まで「タダ」と思われていた福祉分野でも「受益者負担」という考えが一般化してきました。そのため、保育行政に関しても、現在は制度が大きく変わろうとしています。幼児教育100年の歴史の中で、今までの90年の変化より、ここ10年の変化のほうが10倍くらい激しいように思います。規制緩和・特区などにより幼稚園・保育所の一元化も真剣に論議されるようになりました。こんな時代背景がありますので、24時間運営の保育所に幼稚園機能を織り込んで、幼稚園・保育所一体型施設にするのも面白いかと思います。(卒業論文の場合ですが…)

ただ、現在の法律上、24時間開設の保育所が認められているのでしょうか?東京歌舞伎町には近隣の飲食店で働く方々のために、夜間開設している夜間保育所がある、ということを聞きましたが、認可保育所ではなく、無認可だそうです。このあたり詳しいことを知らないので、ごめんなさい。

先ず規制の面ですが、保育所に関しては定員に対する面積・「ほふく室」(ハイハイできる場所)の面積など、細かな点で規制があります。これは設置基準を参照してください。 できれば昼間の採光を考え、平屋で、屋根にドーマー等を入れると便利でしょう。構造は(幼稚園の場合ですと)耐用年数の規制があって、木造25年、鉄骨33年、鉄筋60年で立て替えに国庫補助がつきますので、幼稚園関係者としては木造が好まれます。ただ、耐火建築でないと2階以上にはできませんので、敷地の形・面積によって変わってくるかと思います。木造は平屋でないと認可にならないのです。

主要構造が木であれば「木造」ということになりますので、補助的に鉄骨を利用し、遊戯室などを作る方法もあるかと思います。木造では在来工法のところが多いようですが、個人的にラーメン構造に対して、何となく好きではないのです。(単なる偏見なのでしょうが)
耐久性を考えれば、その後のリフォームがしずらいという欠点はありますが、鉄筋コンクリート作りがベストでしょう。外見だってレンガ張りにすれば、無機質的なものでなく、洒落たものになりますよね。

個人的には輸入住宅的な外見で、夢のある建物がよいと思います。屋根材なども以前に比べると材質表示から性能表示に変わったことで、新しい素材も使えるようになったようです。私が今の幼稚園を立て替える場合を仮定すると、費用の面、工期の面を考え2×4か2×6のパネル工法、木造平屋にすると思います。

運動場面積にも規制がありますので、狭い土地の場合ですと定員が小さくなります。これも設置基準を見ていただければお分かりでしょう。

保育所のココが使いづらい、というご質問ですが、幼稚園の場合も同様と思いますが、規制の関係で、どうしても現場の意見より規制を優先せざるを得ないことが多々あります。(そうしないと建築許可は下りても所轄官庁の幼稚園としての認可が下りない)
規制を排して考えれば、各保育室にロフト的な「教材倉庫」を設け、いちいち職員室や教材室に教材をとりに行くロスを避ける(子どもから目を離さない工夫)のも良いかと思います。このロフトをキャットウォークにして、上から子どもの遊ぶ様子を観察し、危険と思える場合、即注意できる、なんてのも有効かと思います。

床はできるだけ柔らかい木材のほうがいいです。ケガの危険が防げます。ただ、ワックスをかけたりする時、ピアノを移動すると、キャスターの跡がつくのが難点。
パイン無垢材あたりが良いと思います。厚さも19ミリが一般的ですが、薄いほうが弾力が期待できる半面、耐久性で問題あり、です。メインテナンスを考えると、無塗装でなく、ニス塗りで、樹脂ワックスがつかえるもののほうが職員の負担は減ります。

壁はできれば木のほうが作品(絵など)を貼れるので便利。でも、耐火構造を要求されますので、タイガーボードにクロス張りにせざるを得ません。画鋲の使える壁が理想です。あとは環境問題・アレルギー問題もありますので、リボス壁なんかもよいかも知れません。(ピンは打てませんが)

OMソーラーシステムの床暖房もいいですね。暖房器具はストーブのように、部屋の中央にドーン、と置かれるものですと、動線を邪魔することが多いのです。
夏の冷房も現在では必需品ですが、費用(維持費)の面でガスヒートポンプをお勧めします。効率がちょっと悪いようですが、シーリングファンを回し、部屋の空気を循環させれば充分涼しく感じられます。雰囲気もいいでしょう?
電気冷房の場合、契約アンペア数に応じて、使わないときでも費用がかかりますが、ガスの場合ですと、「切る」ことが簡単です。

事故防止のため、ドアには注意してください。子どもが手をはさむ事故が多いのです。できれば指1本開けるすきまのあるドア。できれば引き戸のほうが事故が少ないです。でも、こうするとすきまから風が通ってしまいますので、外断熱にして、園舎全体を暖め・冷やすことが必要になるかと思います。

レイアウトですが、できれば職員室から全体が見渡せたうえで、各部屋に移動できる時間が短いもの。職員室を前面に、その後ろに広い遊戯室。職員室を中心にして、放射状に各保育室が並んでいる。こんなものが勤務する立場・管理する立場からすると理想的です。

子どもの視点から見ますと、やはり想像力のかきたてられる保育室が望ましいと思います。例えば「本人は隠れたつもりになっているが、大人の目線からすると丸見え」の空間。私たちは「アナーキーな空間」と呼んでいますが、こんなのもいいですね。又は建物の基礎をあげておき、運動場に面した部分をウッドデッキにし、その下で遊べる空間を用意することもいいと思います。

地域との関係ですが、どう利用するか。例えば公開講座や地域の子育て支援事業など、地域の方々に開放する場所として提供するのであれば、バリアフリーで段差のない建物が望まれます。それは、その保育所が地域にどう貢献しようと考えているか、によって異なります。

24時間開設の保育所ですが、私の知る限りでは、関西でひとつあります。そこの理事長先生の講演を聞いた記憶があります。24時間営業にするつもりはなかったが、結果的にそうなったようで、とにかく大変らしいです。最初から24時間開設を前提に作られるのであれば、防音はもちろんのこと、夜間の室内照明が近所の迷惑にならないような工夫、当然車で送迎する保護者のための車寄せ等々も考慮しないといけないでしょう。

前にも述べましたが、24時間開設保育所が現実に、現在の法律上可能なのか?その点をご確認ください。

(アドバイザー:井上智賀)


はじめまして…
建築ですか?
悩んでしまいますね…
まず騒音対策は万全にしといたほうがいいでしょう。
24時間になるとなおさらですね…。
それと 外部からの新入がすぐわかるようなつくりにしといたほうがいいのでは…。
後は部屋の中にトイレや水道があると保育しやすいですね。

縦横長い大部屋にしとけば部屋の区切りなど楽ですね…。

後は職員室とは別に職員の休憩室なんてあれば言う事なしじゃないですか?

難しい問題ですが自分の思い当る節を出してみました…。
ご参考までに…。

(アドバイザー:staff)


こんにちは こむろゆうきさん 保育士の浜田です。
24時間経営ではありませんが、実際に22時間開所の認可園を紹介します。
「ABC乳児保育園」東京の新宿(2001年4月1日)
無認可として18年の夜間保育園の実績が認められた
基本開所はAM11:00〜PM10:00で、加えて、前後6時間の延長保育
定員60名職員26名
親の職業は多種多様で母親はフルタイムで勤務する人がほとんどとか・・

子どもと生活している場や保育している場をはっきりさせる
親が気がね無く長時間預けても子どもとの生活がスムーズに園から家庭へ移行できるか
保育の中身も1日の流れのなかにメリハリをつける
午前中は動きのある保育、夜は夕食を取りお風呂に入り静かな保育を心がける等


> ・保育所のココが使いづらい

0歳児部屋は広くてどこからも子どもの姿が把握できるようにと配慮されていますが、乳児は月齢により午前,午後と2回睡眠が必要な子もいるし、午後から1回午睡をするだけの子もいるし、生活リズムは随分違います。ですから睡眠ができる部屋と遠慮せずに遊べる部屋が必要です。
ただ広いだけでなく、仕切れる部屋の構造が欲しい。そして、SIDS(突然死症候群)なども心配されるので、仕切りはマジックミラーのようなものがよいと思う。

私の勤務している公立の保育所は大体2階建てで乳児室が2階にあり、食事の準備、片付けは階段の昇降が必須でハードな時間、また月1回の避難訓練も乳児の避難は2階から階下まで大変です。また、戸外遊びをするためにも不安定な階段昇降が必要不可欠。とにかく2階に乳児室があることは多方面にわたり不便です。


> ・こんな部屋があれば便利

病後児室があればいいと思います。熱は下がって当園したけれど、みんなと一緒に散歩に行ったり、ふざけあったりはしんどい、まだ少し安静にゆっくり過して欲しいなという子どもたちが小人数で過せる部屋。

保育士の休憩室!現在どこにもあるとは思うが日当たりが悪くて、狭くて、更衣室と兼用が多い。

1階から2階へのリフト!調理場から2Fの保育室に給食が運べる!!

幼児室でも着替えをするときのコーナー!年長児にもなると排泄の失敗などでの着替えは恥ずかしい。そんな時カーテンで仕切れるようなコーナーがあれば嬉しい。

マジックミラー付きの保育室!特に乳児は保育参観ではいかに母親を見て泣かないように、またいつでも普段の遊ぶ様子をみてもらって安心してもらいたいと思っています。

送迎のための駐車場!一番近隣から苦情が出るのが送迎時の駐車です。
これからは、必須条件です。

どこの部屋からもすぐ集まれるようなホール!
床暖房!(ボイラー、ストーブは乾燥や空気の汚れが気になる)
100坪くらいの園庭!(木登り出来る大きな桜の木かどんぐりの木、雑草畑)部屋とはいえないが天気の良い日は自然の保育室となる


> ・保育所と地域の関係

地域の老人会がボランティアとなって散歩や遊びに参加。
近くの高校生の課外活動として、月1回クッキングや散歩、遊びなど交流を目的に訪問。
小、中学校より交流訪問。
地域の親子が親子教室を週1回保育所で開催。
近隣の老人保険施設の訪問。
等など以前に比べると地域に開かれた保育所となっています。


> ・24時間経営の保育所の問題点

「長時間保育において児童の心身の発達に与える影響は良くないのでなないのか・・」という一般的な考え方がそうではない。保育の質の問題であると納得させていけるあり方を、継続して職員たちができるかどうかということではないかと思います。
親も、長時間保育をしていることを犠牲と考えてしまわないこともあげられるのでは。

ということで地域に広報していくことも大切と思います。

(アドバイザー:浜田栄子)




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