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管理者損害賠償保険&休園の場合の授業料について
以前にも相談させて頂いた6歳9ヶ月の女子の母です。学校法人の幼稚園に通わせていますが、昨年の10月に園の鉄棒から落下し腕を骨折してしまいました。
その後の園の対応がとても不誠実で、落ちた状況も見ていなかったのでわからないと言われました。又、園長は当初、申し訳ない、という言葉すらありませんでした。

骨折して以来ずっと休園しているのですが「休園中でも授業料は支払ってもらうことになります。退園手続きをしてもらえば無料で済むので書面上だけのことですからそのようにして下さい」と園から言われました。「園の過失によって怪我をさせられたのに、どうして休園で授業料を支払わなければならないのか、なぜ退園手続きをしなければならないのか?」と聞くと「国から監査が入った時に、在籍名があるのに授業料が入らないのはおかしい、ということになるから」と、言う説明でした。
そんなことがあるのでしょうか?たとえ監査が入ったとしても、休園する場合は休園届を書く訳ですからそれで済むはずだと思うのですが・・・。

娘の骨折は腕が将来的に内側に曲がってしまうという後遺症もあると医師から言われているので、たとえ書面上でも一度退園手続きをしてしまったら後々、園に対して責任が問えなくなってしまいます。

園の鉄棒は、高中低と3つ繋がった物なのですが娘の話では、低で前周りをして落ちてしまったようです。鉄棒から落下した時にはマットが敷いてあり、その上に落ちたと話したので私もそのマットを見てみました。踏み固められた板のように固いマットで、低の所にだけ敷いてあり他の2つの所は砂もほとんどなく窪んでいました。

園というのは子供の安全を第一に考える所だと思い、先生が見ているようにするなどの改善を求めると園長は「職員の手が足りなくて・・・気をつけます」と言うだけでした。

私もさすがに頭にきたので、公の場で話をしたい、と言うと、退園手続きもなく休園で授業料も頂きません、と態度が急変しました。又、管理者損害賠償保険というのがあるのでそれに同意して欲しいと言われました。この保険は一体どんな性質の物なのですか?そして、国から監査が入り休園の場合授業料が支払われないと本当に困ることがあるのでしょうか?教えてください。

(みるもママ さん)


みるもママ さん、旭幼稚園、副園長の井上です。本当に大変ですね。心中お察し申し上げます。
実は私も高校の修学旅行先のホテルで、友人とプロレスごっこをやっておりまして、場外乱闘となり、「後ろ投げ」をくらって、左腕を骨折してしまいました。今でも左腕は完全に伸びませんが、日常生活には何の不自由もありません。その時の先生から「あれはまいった」と酒の肴にされています。まあ、これは本人が悪い訳で、高校の責任ではないのですが…。ただ、幼稚園内で、幼稚園の遊具での事故となると、ちょっと様子が変わりますよね。そんな点も含め、ご相談内容について、私の知る限りでお答えさせていただきます。

先ず「休園」という手続きについてですが、この手続き、あくまでも便宜上のことで、法律的に確立されたものではないようです。幼稚園の規則(「園則」といいます)には、だいたい「在籍している場合には保育料等納付金を納めなければならない」という一文が入っています。幼稚園設立のときに、県から提示される見本の「園則」がこうですから、(違ったことを書いて、クレームをつけられると怖いので、この見本をそのまま使い、保育料など納付金だけ独自のものを書き入れ、自分の幼稚園の名前を書いて提出するところが大多数です)どこの幼稚園でも同じではないか?と思います。

でも、やむを得ない理由(病気やケガ、お父様の海外出張などで長期に欠席することがわかっている場合など)で長期にお休みする場合、それを免除する、というのが「休園」という措置です。
私どもの園の場合は、「月の初めから終わりまで1ケ月単位で休む場合」保育料は全額免除しますが、諸費(行事費・施設費・PTA会費など)はいただいております。つまり12月10日から1月20日まで休んだ場合には(その期間は1ケ月相当なのですが)摘要しません。これは各幼稚園によって異なると思いますので、その園の方針に従っていただくしか方法はありません。

在籍している園児さんから保育料が入っていない場合、県の監査があった場合、指摘されるのは事実です。それ以前に、毎年公認会計士さんの監査を受けますので、その時に在籍者と納付金は必ずチェックされます。これは園の説明通りです。ただ、「この子は○○の理由で、休園したので保育料は免除します」という説明があれば、それ以上の追求を受けた、という話は聞いていません。
また正確に言うなら、園則や細則(「保育料の減免等に関する細則」などと言うもの)に減免規定(休園の場合の措置)が盛り込まれていないといけないことになっていると思います。

次に「休園・退園した場合、その後の保証が受けられなくなる」とのご心配ですが、例え退園しようが卒園しようが、事故と後遺症の因果関係がはっきりしている場合、幼稚園にはその損害(ケガ)に対する責任はあるでしょう。これは民法上に明記されておりますので、在籍していた幼稚園内の事故でケガをし、それが原因で後遺症になった場合には、幼稚園には責任がある、ということになると思います。
私の記憶では民法90条に「故意または過失によって、他人に損害を与えた場合には損害賠償の責任を有する」ということになっていたと思います。「故意」であっても「過失」であっても、損害(ケガ)をさせた場合には保証しなければならない、ということです。
これについてはどの程度の過失があったか(園の責任・お子さまの責任の割合など)、監督責任はどうだったか、個々のケースによって異なります。現場を見ている訳でもないので、これ以上の論評は控えさせてください。

「管理者賠償責任保険」というものですが、保険にもいろいろな種類があり、保険会社でも様々な種類の保険を発売しています。この保険については詳しいことを知らないので、なんとも言えませんが、名前から推測すると「幼稚園が管理している園内で事故があり、保護者に賠償しなければならない場合に使う保険」ではないか?と思います。これはその約款を見ないと「こんな保険です」と言えないので、ご容赦ください。
 幼稚園の説明ですと「賠償責任保険を使うことに同意して欲しい」ということですよね?通院1日○○円、入院1日○○円などと言うように、当初から保証金が確約されているものなら、保険を使う同意があろうがなかろうが、結果(保証金)は変わらないはずですので、ケースによって異なる場合(いわゆる「示談金」まで含めた交渉をやってくれる保険)に使う保険のようにも思いますが、これ以上は推測の域を出ませんので、申し訳ありませんが、保険の内容・約款などをご覧になり、ご判断をお願いいたします。

この種の保険でも、その内容説明は「法律用語」が満載されています。ちょっと法律の知識がないと、「日本語であっても意味不明」の独特の「言い回し」になりますので、よく内容を説明していただき、納得いかない場合には、地区の弁護士会などで行なっている無料法律相談会などにご相談されることもお考えください。

(アドバイザー:井上智賀)


みるもママさん、こんばんは。
ご指名でもないのに、でしゃばります。
遊具の安全性について、多少知識がありますので、参考までに聴いてください。
みうもママさんの質問とは、ちょっと視点がずれているかもしれませんが、参考までに、と思ってくださいね。

日本の現状についてお話します。
遊具に関してさえ、公的な安全基準は日本の場合ありません。
昨年3月に、国土交通省が遊具の安全に関するガイドラインを初めてだし、10月に遊具メーカーの協会が遊具の安全に関する数値規準を公表しました。
国交省のガイドラインは、「子どもには安全に遊べる遊具が必要」「安全に配慮して遊具を設置しましょう」程度のもの。遊具メーカーのものが、それを補完するための数値規準です。

鉄棒に関しての記載は、握り棒の長さと太さ。そして、握り棒が回転してはならない、という規定です。また、今回の鉄棒事故に関連していると思える内容は、着地面材質の規定ですが、土、芝生、砂、ウッドチップなどで「落下高さに応じた衝撃吸収性能を確保することが必要」とあります。
遊具先進国のヨーロッパやアメリカの規準では、落下面の素材というのは多くの事故の原因になるので細かい規定がありますが、日本では、ごく簡単に記してあるだけです。

しかし、この規準ですら、メーカーの規準に過ぎず、これを守らないと法的に責任を問われることは全くありません。
あくまでも、設置者の意識、誠意によるものです。

日本での遊具事故は、全くといっていいほど、設置者やメーカーが責任を問われることはありません。全て「子どもの責任」といわれます。
「使い方が悪かった」「不注意だった」「疲れていた」「服装が適していなかった」「ドンくさかった」などと、ごく当たり前に言われます。
100キロもの鉄の塊が動いている箱ブランコの事故でさえ、「子どもの遊び方が悪かった」ですから。

ですから、厳しいことを言うと現状では、鉄棒での転落事故は、「仕方がない」で済まされることが大半です。園の管理責任を問うことは、かなり困難だと思います。

もちろん、遊具の安全性を求める私の立場では、落下面の素材は早急に改善すべきとは思いますが、現状、それをもって園の責任を問うことは難しいだろうな、とちょっと悲観的に思います。

また、「先生が事故の現場を見ていなかった」ことについて無責任であると感じてらっしゃるようですが、私は、遊具の事故に関して、「見ている、見ていない」をそれほど重要な点ととらえることには懐疑的です。
事故が起こるのは一瞬ですから、たとえ見ていても助けの手を出せる場合は少ないのです。
ですから、「事故は起こりうる。でも、たとえ事故が起きても大きな怪我に至らない構造が必要」と考えてします。
ヨーロッパの規準は、それゆえにとても厳しく規定され、検査されています。

見ている、いないを問題にしていくと、公園などの事故の場合、必ず「親はどうしていた!」と言われます。実際問題、子どもにぴったり張り付いて遊ばせることなど不可能ですし、子どもたちも不自由です。

保障の件ですが、「管理者賠償責任保険」というのは、たぶん「施設所有者・管理者賠償責任保険」というものかと思います。
『工場、事務所、店舗、学校、各種体育施設、遊園地、広告塔、看板などの各種施設の所有・使用・管理に伴って生じる偶然な事故、およびその施設の内外で行う生産・販売・サービス等の業務の遂行中に生じる偶然な事故によって発生した損害賠償責任額について保険金が支払われます』
というものです。でも、たぶんですが、この保険は、鉄棒に明らかな瑕疵が認められる場合しか適用されないのじゃないか、と思いますが…。
もしそうなら、「鉄棒」の瑕疵を認めるにも、規準がありませんから、これまで認められたケースは少ないと聞いています。(私の想定している保険と違ったらゴメンナサイ)

それよりも、日本体育・学校健康センターの災害共済給付制度というのがあり、みるもママさんの幼稚園が加入していれば、医療費の交付があるはずです。
センターの統計でも、鉄棒による事故が給付件数が最も多いですよ。
詳しくは、http://www.ntgk.go.jp/anzen/kyosai_f.html

あまりいい情報ではなかったので、不快かもしれませんが、参考になさってください。
遊具の現状は、本当に理不尽なことが多いです。

(アドバイザー:松野敬子)




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