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アドバイザースタッフに聞きたい!

これまでのQandA
幼稚園・保育園 園や担任の先生への不満
園にある遊具の安全基準について
5才と4才の男の子の母です。5才の子が私立幼稚園に通っています。その幼稚園の事でご相談したいと思います。

5才の子が幼稚園に通い始めて2年目に入りました。昨年度1年で幼稚園の良いところ悪いところが私なりにわかってきました。その幼稚園は宗教法人です。5年ほど前、園長が変わったのと同時に園舎も園庭も新しくなりました。いろいろな問題について園と保護者での話し合いもありましたが、結果的に「やっぱり宗教法人だからかしら…」という事が多く、保護者の気持ちはあまり反映されていないように感じます。

もちろん園の保育方針や個性もありますから、すべて保護者の意見を聞きいれてもらえるとは思っていません。それでもどうしても納得できない問題があります。園の安全についての考え方です。

ある遊具(園が手作りしたもの)からの落下事故が続いて何度も話し合いがもたれたのですが、はっきりと解答も得られないまま終わってしまい、いつのまにか補修して少し安全な状態にしてありました。補修してくれた事自体はとてもよかったと思いましたが、今でも危険な遊具である事にはかわりなく、何となく適当に補修してごまかされてしまったような気がしてなりません。

その後に、学校法人の私立幼稚園は検査が入って国の定めた「安全基準」に違反してないか調査してくれるけど、宗教法人だからそういう事がないと聞きました。知り合いの学校法人の私立幼稚園の先生に聞いたところ「そんな危ない遊具があるなんて信じられない」と言われました。

以前園長が「わざと危険な遊具を置いている」とおっしゃっていたのを覚えています。昔は自然と危ない経験をして体で覚えて行けたけれど今はわざとそういう環境を作らないと経験できない、危ないからと言って安全な環境に置いておくといざという時にとっさの行動が出来ない、というような事でした。ですから園長自信も「危険な遊具」という認識をお持ちのようです。

私は「それは理想論であって、実際は違うんじゃないか」と思います。幼稚園にわざわざ危険な遊具を置いてほしいなんて思っていません。どこの幼稚園も安全面だけは配慮しているものだと思っていました。どんなに注意を払っても園でけがをする可能性はあります。幼稚園での園児死亡の例なんて数え切れないほどあるはずです。園が安全な環境にするように努力していても、事件が起きたら本当に大変な事です。

それが「わざわざ作った危険な遊具」で起こった事件だったとしたらどうでしょうか。園長が理想をもって保育をしているのはすばらしいと思いますが、ほとんど不在の園長のいう事は「絵空事」としか思えません。

その証拠にか理想通りに建て替えたはずの園舎について、何度も抗議していると改善してくれた事もあったそうです。同時に作られたその遊具についても以前から意見された方もいたようですが大きな問題になってきたのは事故が起きた去年からだそうです。

宗教法人だからといって安全に関しては学校法人と変わらないようにしてほしいし、事故が起きてから考えようという園の態度がとても不安です。こと安全対策についてだけは、保護者から抗議があってからではなく自主的にして欲しいと思います。何か事件があってからでは遅いと思います。

実際に軽傷ですんではいますが事故は起こっているのです。補修されてからはその遊具について保護者の間で話されている様子もありません。これ以上何を言っても無駄だと思っているのかも知れません。でも自分の大切な子供が毎日通っている幼稚園の事です。私は知らなかったから、誰も言い出さなかったから、で済ませたくありません。

今後、幼稚園に働きかけようと思っていますがいろいろわからない事だらけで、どこで調べたらいいのかもわかりませんので、以下の質問に答えていただけますでしょうか。

1、学校法人の幼稚園は本当に検査が入っているのですか?検査の時期は決まっていますか?検査はどこの機関が担当しているのですか?

2、「教育要領」と「設置基準」に目を通しましたが基準がはっきりと数値等では書いていないようです。検査をされる方はどういう基準で安全かどうか見きわめているのですか?どういった感じで行われているのですか?

3、施設はもちろん遊具などについて、検査の結果「安全でない」となった場合にはその検査を行った機関はどういった対応をするのですか?「注意」だけなのか、それとも「絶対的な指導」をして安全な環境になるまで責任を持ってやってくれるのですか?

4・宗教法人には本当に検査は入らないのですか?入らない場合は、学校法人の幼稚園と同じ安全基準を満たしてもらいたい場合はどこへ働きかければいいのですか?

長くなりましたがご返答よろしくお願いいたします。

(ワンワン さん)


ワンワン さん、ご相談いただきありがとうございます。旭幼稚園、副園長の井上です。

ご質問の点について、先ず前段の部分ですが、私は実際にその遊具を見ておりません。本当に危険なのかどうか、という点については不明なので、その遊具に関するコメントは遠慮させていただければ幸いです。次に以下の質問に対して、回答させていただきます。

> 1、学校法人の幼稚園は本当に検査が入っているのですか?検査の
> 時期は決まっていますか?検査はどこの機関が担当しているのです
> か?


学校法人の幼稚園に検査(監査)が入るのは事実です。それは会計について、国と県から補助が出ているため、その支出が適正であったかどうか。学校法人として義務づけられている理事会などが適切に開催されているかなど、会計を中心に1日監査を受けることがあります。(だいたい5年に1度くらいです)そのついで、といった感じで「幼稚園の土地や建物が抵当に入っていないか」など、登記簿を調べることもあります。

検査の時期は県によって異なると思いますが、私のところでは1月から2月頃が多かったように思います。監査を担当しているのは栃木県の場合、総務部、文書学事課というところですが、県によっては文書宗教課などという名称の課になっているところもあるようです。(学校法人・宗教法人など、公益法人を管轄する課、ということでしょう)

> 2、「教育要領」と「設置基準」に目を通しましたが基準がはっきりと
> 数値等では書いていないようです。検査をされる方はどういう基準で安
> 全かどうか見きわめているのですか?どういった感じで行われているの
> ですか?


教育要領というものは、各幼稚園が教育課程を編成するときに、注意しなければならない事項を列挙した、「幼稚園教育のエッセンス」。設置基準は「これだけの設備がないと、幼稚園としては不適格」という最低基準を書いたもの、とご理解ください。ですから、設置基準以下の幼稚園は認可になりません。「それ以上、いくらでも良い」のです。

だから遊具についても、以前は「ブランコ・すべり台・砂場」が明示されていましたので、幼稚園はこの3つは必ずありました。でも、現行設置基準では、このような記述はなくなり、各幼稚園が自由に「これは」と思う遊具を設置できるようになったはずです。(手元に現行設置基準がなく、記憶をたよりに書いています。5月の保育学会に行った折、最新の設置基準について調べておきます)

ですから、遊具の安全などは県では調査しません。基準もあるのかどうか不明です。遊具メーカー同士が話し合って決めた基準があるらしい、という話を聞きました。例えば1,5メートルを超えるところに「踊り場」などがある場合には、転落防止用の柵をつける、等々です。あくまでもメーカーの自主基準らしいです。(これも聞いた話を元に書いています。もしかしたら通商産業省あたりに幼児向け遊具の安全基準があるのかも知れませんが、確認できませんでした。あくまでも聞いた話をもとにお答えしています)

> 3、施設はもちろん遊具などについて、検査の結果「安全でない」となっ
> た場合にはその検査を行った機関はどういった対応をするのですか?
> 「注意」だけなのか、それとも「絶対的な指導」をして安全な環境になる
> まで責任を持ってやってくれるのですか?


これもそのような機関があるかないか、全く知りませんので、お答えできません。似たような例ですが、例えば建築基準法に違反した建物を建てた場合。「違反です」という通知はしますが、「建築基準法に合うように、建物を改造しろ」等々の通知はしないようです。「お金を出して建てたのは自分。住んで何が悪い」といなおられ、住んでしまったらそれで終わりのようですね。

もし遊具の安全性を検査する機関があったとして、どこまで責任をもった指導をするか、あまり期待はできないと思います。だって車検を受けた直後に車が不調になっても、無料で修理してくれるディーラー、ありますか?車検というのは「車検場を通過するときに、ちゃんとしているかどうか」を検査するだけで、次の車検まで乗っていられる、という保証ではありませんよね。これと同じで、検査する機関があったとしても、設置後のメインテナンスによって、状態は全く異なるわけですから、それは設置した者が管理すべき事項、ということになりそうな気がします。

> 4・宗教法人には本当に検査は入らないのですか?入らない場合は、
> 学校法人の幼稚園と同じ安全基準を満たしてもらいたい場合はどこ
> へ働きかければいいのですか?


私の県の場合なのですが、宗教法人立幼稚園であっても、学校法人志向園(学校法人になりたいと思い、移行するための準備をしている幼稚園)は学校法人に準じた補助金が出ているため、学校法人に準じた会計監査が行なわれているようです。でも、それは県によって異なると思います。

ただし、設置体が学校法人であっても、宗教法人であっても、法人格を持たない個人立であっても、幼稚園という名称を使うのであれば、都道府県知事の認可を必要とします。ですから設置体のいかんを問わず、担当部署(文書学事課・文書宗教課など)は必ずあります。安全基準は設置基準とは意味が違うので、どこまで真剣に担当部署が聞いてくれるか、これもわかりません。

長々と説明してしまい、申し訳ありません。私も勉強不足で、お答えにならなかったことをお許しください。ここからは私の個人的な意見です。園長先生の「今は危険なことが体験できないので、わざと危ない遊具を」という意見、同じ幼稚園関係者として賛同できる部分もあります。全面的に否定はできません。でも、それも程度問題。落下事故が多いのなら(落下することを想定して設置した遊具なら)下に厚いクッションとかウレタンのマット等を置く、等の処置が必要と思います。

ワンワンさんは「現在設置してある遊具から転落事故などが多く。非常に危険」と思われ、何とかしたい、との一念で、相談された、と思います。本来なら保護者の方々から苦情が出る前に、そのような遊具を撤去すべきと思います。遊具を実際に見たわけではないのですが、保護者の方々がそのように思われるものを、放置しておくということ。これは私立幼稚園という、ある意味「人気商売」のところでは絶対に避けたい事項のはずです。私ならそうします。

実際、私の園では根本からサビの出たジャングルジムを撤去しました。ベアリング交換しても、長年の使用で軸自体が曲がり、ちゃんと前後に動かなくなったったブランコも撤去しました。今でも遊具は暇を見てはサビと古い塗料をはがし、少しづつ塗り替え作業をおこなっている者として、「危険な遊具」はケガする前に、事故になる前に改善するのが普通ではないか?と思います。

ただ、遊具メーカーが作ったものでもない、手作り遊具は安全性という点でも、ちょっと心配ですよね。耐過重計算などはやっていないと思います。あまりお薦めできないのですが「あのような危ない遊具を放置する幼稚園に子どもを預けられない」と保護者会で意見を述べる等々の方法もあろうかと思います。

今回のご相談は、満足のいく回答になっていないようにも思います。これも私の不勉強のいたところ。深くお詫び申し上げます。

(アドバイザー:井上智賀)




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