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アドバイザースタッフに聞きたい!

これまでのQandA
性格・生活習慣・行動など 言葉が遅い・発育障害の不安
成長を図る指標としての「言葉」と「2語文」の意味を確認したい
1歳9ヶ月の息子に付いて相談があります。

息子は1歳半でやっと初語があり、その後も、いくつか喋る言葉はあるのですが、全体的に言葉が遅く、自閉症・精神遅滞などの疑いも踏まえて観察しておりました。ですが、最近すこしづつ言葉も増え、大丈夫かな?と考えられる余裕が生まれてきました。
ですが、「大丈夫」という判断をする中で最も気にするところが息子が喋れる「言葉の量」という点なのですが、どういったものを「言葉」として認識してよいのか分かりません。そこで「言葉」「2語文」の意味について相談させて下さい。

通常、幼児にとっての「言葉」とは自分から進んで意味の有る単語を発声するものと解釈しております。しかし息子の場合、「ぶーぶーって言ってごらん」とこちらが言うと「ぶーぶー」と言いますが、自分から指をさして「ぶーぶー」とは言いません。このように、自分から指をさして主体的に言葉を発しなくても「おしゃべりできる言葉」としてよいのでしょうか?

また、2語文とは単語と単語を組み合わせて文章として表現する事だと理解しております。しかし、「ママ」と「まんま」を組み合わせて「ママまんま(「ママ御飯頂戴」と言いたい)」という一瞬2語文かな?と思うような文章も話しますが、2語文とは「文章」として成立する(「まんま頂戴」等)ものとして理解できる内容であると定義すると、ちょっと2語文とは程遠いかな?とも思います。

このように、息子の成長を図る指標としての「言葉」と「2語文」の意味合いが曖昧である事から、その判断に自信が持てず仕事にも集中できません。

息子の発達の状況としては、
・1歳6ヶ月過ぎに言葉が出ました。
・指差しをよくして好きなものを「あ、あ!」と表現します。
・名前を呼ぶと何かに集中してなければ大体振り返ります。
・よく笑い、こちらがニコッとすると笑顔になります。
・発語から3ヶ月で、こちらが理解できる言葉は約12個近くまで増えました。(12個のうち、主体的に喋る言葉は7個あり、5個はこちらが「言ってごらん」というと喋ります。)
・理解語(「○○どれ?」と聞くと指差しができる言葉)が120語弱
・理解できる命令(「○○して」と言うとその通り対応できる)が30個弱
・模倣(「バイバイ」など言葉といっしょに動作する事を模倣する)が40個弱
・2語文(まがい)の言葉を2個くらい話します。
・音楽に合わせて下手なりに踊ったりします。
・同い年くらいの幼児に関心が強く、仲良しの子には抱きついたりします。

です。

気になる行動としては、モノを投げて過剰に喜ぶところや、睡眠時間が他の幼児と比較して若干短い(1日で10時間くらい)、寝つきが悪い、自分の思うとおりに遊べないとかんしゃくを起こしやすい、たまにつま先立ちをするところ・・以外は基本的には普通の幼児だと認識しております。巷で言う「クレーン現象」や「逆手でのバイバイ」「視線が合わない」「物をくるくる回す」などの行動はありません。妻は専業主婦で、日中は外遊びや絵本を読み聞かせております。私が帰宅した後は3人でかくれんぼやおいかけっこをして遊びます。

1歳半検診では言葉が出てないと言うことで「3ヵ月後にまた連絡します」という診断をうけました。まだ専門の医師に相談しておりませんが、個人的には息子の成長状態としては、少しゆっくり目ですが順調に成長しており、そんなに心配する状況ではないかとも思っております。いささか神経質に観察しすぎているという反省もありますが、自身の判断の材料とさせて頂きたいため、言葉と2語文の意味合いが正しいのか御教示いただけましたら幸いに思います。

以上です

(kanパパ さん)


kanパパ さん、ご相談いただき御礼申し上げます。旭幼稚園、副園長の井上です。
ご相談内容、拝見いたしましたが、ちょっと私の専門外の部分もあるため、自分でも再度勉強してみましたが、自分自身を納得できるような明快な回答が書いてある書物は手元にありませんでした。

保育学といわれる学問、他のもの(法律学や経済学など)と比較して「専門用語」というものがありません。それだけにわかりやすい一面、逆に同じ言葉(単語)を使っていても、お互いがイメージするものは違う。保育学会では同じ話題で同じ単語を使って会話しているように見えて、議論が全くかみ合わない。そんなことを何度も目にしました。いいか悪いかは別として、曖昧なのが保育学なのです。

これがある意味、私の回答にもなります。つまり言葉は何のためにあるのか。私は「意思を伝達する手段」として「ことば」があり、その「ことば」は「話しことば」と「書きことば」に分かれる。そう理解しています。

kanパパさんが例としてあげられました点ですが、
「通常、幼児にとっての『言葉』とは自分から進んで意味の有る単語を発声するものと解釈しております。」という前提でお話を進めていらっしゃいますが、その次にある「息子の場合、『ぶーぶーって言 ってごらん』とこちらが言うと『ぶーぶー』と言いますが、自分から指をさして『ぶーぶー』とは言いません。」これは前提に対して矛盾していませんか?
これは「自分から進んで」しゃべっている訳ではない。大人が「しゃべらせている」のですから、「ことば」ではない、ということになります。自分の意志で、自分の気持ちを表現しようとして、必要に迫られ発したものではない。物真似(オウム返し)ですので、この前提では指までさせるとは思いません。これはもう少し年齢があがらないと無理と思います。

逆に言葉として理解できない「叫び」のようなもの。これだって立派な言葉だと思います。オリンピックで金メダルをとった選手。「嬉しいです!」と言うより、全身で「ウオー!」と「雄たけび」をあげる方が、その喜びを共感できる万国共通の「言葉」として理解できますよね?その意味で、理解できる単語とか理解できない発声とか、こと細かく分析する必要があるのか?と考えてしまいました。

その一方で、ちゃんとしゃべっているのか。他人が聞き取れる発音をしているか、という問題もあります。よく「何を言っているのかわからない」という「宇宙語」についてご相談を受けますが、あれだって本人にしてみれば、ちゃんと話している「つもり」でも、単に発声器官が成熟していないのが原因で「聞き取れる単語」でない場合だってあります。
発声器官だけでなく、耳なども同じです。うまく聞き取ることができない、だから正確な発音(大人のモデル)を聞くことができず、それが原因でうまく単語が覚えられないこともあるでしょう。
英語の歌を聞きます。いい歌なので覚えたい。CDを買いますが、耳から聞くだけで覚えられない。歌詞カードを見ながら「ああ、こう言っていたのね!」と気付く。
これは私達の耳が慣れ得ていないので、何と言っているか聞き取れない。だから意味もわからない。これと同じこともあるでしょう。

2語文とは「2つの単語を組み合わせ、より自分の思っていることを正確に表す手段」だと思います。例えば「みず」と言います。この言葉のもつ可能性としては水を「飲みたい」「水で手を洗いたい」「コップに入れて持ってきて欲しい」「身体がほてっているので、頭からかけて欲しい」状況と様子によって、ありとあらゆる解釈が成り立ちます。それをもっと絞り込んだ意味で使うため「みず・のむ」となれば「水を飲みたい」という意思表示になります。もっと正確に伝えようとすれば3語・4語と言葉の数は増えていきます。

「ママ」と「まんま」を組み合わせて「ママまんま(「ママ御飯頂戴」と言いたい)」という事例をあげられましたが、誰もこの時期、文章として成立するか、文法として合っているかなんて考えていないと思います。雄たけびだって「アー」だって「ウー」だって、立派な言葉だと思うのですが、いかがでしょうか?

また言葉は成長を表す指標ではありますが、身長・体重、行動など、総合的に見て判断すべきものです。決して言葉だけを取り上げたりせず、気長に・おおらかに・成長を見守っていくことが一番大切かな?と思いました。

(アドバイザー:井上智賀)


kanパパさんご相談ありがとうございます。
kanパパさんは子育てについて大変よく勉強し、お子様を観察し、分析しておられると思います。お子さまとよくかかわって育児に参加していらっしゃるのですね。仕事のある中大変なことだと思います。          

こどもの育ちはそれぞれで、100人いれば、100通りの個性、育ち方があると思います。私も何百人の子ども達を見てきましたが、子のことこの子は同じという子は誰一人いませんでした。ひとついえることは、様々な経験が子どもを刺激し、5感が育っていくんだなということです。いろいろなものを見せたり、聞かせたり、触れさせたり嗅がせたり、食べさせたり、体験をさせながら言語の育ちに大切なのは子どもは耳でしっかり聞いているので、言葉が出ないからといって話しかけないのではなく、名詞を伝えたり、大人が感じたことを話しかけたり、沢山話しかけることによりしっかり記憶として覚えていて、話せる時期が来ると言葉として発する語彙数が沢山詰められている分ことばが豊かに出てくるようです。感じる心を育てるには、親が環境を沢山与えていくことだと思います。豊かな経験をさせてあげてくださいね。一緒にお出かけも楽しんでくださいね。 
そして、心配に思われているときは、2−3歳で、専門の医師に再び診察を受けてみましょう。

2歳3歳クラスのとき、まだまだ言葉があまり出ないときから繰り返し同じ絵本を読んでいると、いつの間にかその内容を暗記し言葉が出て独りで人形に話をしている子もいました。本は私の大好きな「怪獣たちのいるところ」です。一日一回ですが週に4度は読んでいました。

(アドバイザー:細谷照美)




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