パパ・ママ
せんせい
きっず


HOME




アドバイザースタッフに聞きたい!

これまでのQandA
その他 学生さんからの質問
幼児教育かファミリースタディーかどちらの方面に進むか迷っている
はじめまして。こんにちは。以前、アメリカの大学で勉強されているという方のご相談を拝見させていただいて、今回私も質問してみようと思いました。

私も現在幼児教育をアメリカの大学で専攻しているのですが、私の学校の場合、専門のフィールドが同じ専攻内に二つあり、どちらの方面へ進むかとても迷っています。一つは幼児教育、もう一つはファミリースタディーです。両方の単位を埋めて初めて卒業できるというものなのですが、私の場合日本人ということもあり、その特性を生かすためにアジア系アメリカ人の歴史や家庭のあり方などのクラスも取っています。

幼児教育の方面へ進むならば、もちろん教諭(アメリカ校、または日系校)などとなり、ファミリースタディーの方面へ進むなら、マリッジカウンセラーや、幼児虐待、ソーシャルワーカー、ドメスティックバイオレンス系など、違う方面になります。
もちろん、どちらの方面に行くにせよ、まずはアメリカで日系の人たちのために働こうと思っています。その後、日本に帰り、アメリカで得たものを日本で使えたら、という希望です。

でも今現在正直のところ、あと一年で卒業なのですが、全く持ってどちらの方面へ進んでいいのか分かりません。自分が何をしたいのか分からずに、いっそのこと、全く違うフィールドで(たとえば、アルバイトとか)働こうかと思うくらいです。日本でも家庭のあり方や子育てのあり方がどんどん変わっていくのに対し、私は一体何をしたらいいのだろう・・・・と呆然としています。

私はどうしたら良いでしょう。これから、日本ではどのような方面に必要性があると思われますでしょうか。これから飛び込もうとしているところ(みなさんが働いておられるところ)が、私にはとっても大きく、重要なものと思うからこそ、いっそのこと、入らないでおこうか・・・と逃げ腰になっています。少しでも目の前のもやがなくなるように、専門の方のアドバイスを伺えたらと思っています。よろしくお願いします。

(sari さん)


sari さん、ご相談いただき、御礼申し上げます。旭幼稚園、副園長の井上です。
ご相談内容、拝見いたしました。アメリカで勉学に励んでおられるとのこと。素晴らしいですね。(実は私もこの仕事につくとは思っていなかったので、大学院終了後はアメリカに留学したいと密かに思っていたのです)勉強できるのは今しかありません。思い残すことがないよう、しっかり勉強してくださいね。

ご相談内容ですが、最終的に進路を決めるのはsariさんご自身です。私の意見は単なるアドバイスとして聞いてくださいね。その点、お断りさせていただきます。

まず日本の現状です。現在、出生率の低下が深刻になっています。これは長期的に見ると、生産人口の減少・年金制度の限界など、国家的な問題になります。そのような訳で、エンゼルプランやら次世代育成支援法など、いくつかのプロジェクトができたり、進んだりしていますが、労働厚生省主体のプランはいつも「育児支援」に名を借りた「ワーキングマザー対策」になってしまいます。これが天文学的予算を使いながら、出生率があがらない原因と思っています。
日本の出生率はまだ下がるでしょう。私は1,2を切り、1,15くらいまで下がる可能性が高いと思っています。

こんな現状のもと、現在のお母さま方は「働く意欲」にあふれています。家で子育てしているよりも、子どもを預けてでも働きたい。お金のためもあるでしょうが、働くことに意義を見出す方が多いような気がします。事実、私どもの幼稚園でもパートなどを含め、約半数のお母さま方が何かのお仕事についています。

こう考えると、今後は義務教育はさておき、就学前は保育所を選択される方が今以上に多くなることが予測されます。そうなると、幼稚園という教育機関を選ばれる方が少なくなり、保育所にシフトしていくと思います。

ただ、小泉首相の肝いりで「幼稚園でもない、保育所でもない、第3の施設」というものができそうです。現在、諮問機関で活発な討議がなされています。これは保育所予算がパンクしてしまう可能性が出てきたことも要因です。幼児より年金が大切、ということでしょうか。
来年度に先行実験的な施設が全国で50程度でき、その後はこの「第3の施設」が主流になる可能性もあります。(現在ではまだ、どのような施設か姿が見えてこないので、論議もあまり活発ではありませんが、概要が見えると幼保を巻き込んだ大論戦になるでしょう)

当然、第3の施設は幼稚園と保育所を合体したような性格ですので、教育と養護、育児支援・就労支援など全てのものを盛り込む可能性が高いです。そこには今までとは全く違った機能が盛り込まれるでしょう。すると、今までの「常識」が通用しなくなることも考えられます。

このような幼児教育激動期には、将来の予測がたてづらいのですが、今後有望なものとして育児支援というものがキーワードになりそうな気がします。
幼児虐待も新聞等でさかんに報道されています。この原因は、核家族になって、地域に孤立した母親の存在があげられます。子どもと同じ空間で、子どもと同じ空気を吸い、外界と隔離された状態で、孤独な子育てを強いられる母親。そのストレスが幼児虐待の芽になっていると思っています。(私は「育児版 エコニミークラス症候群」と呼んでいます)

このようなストレスにたいするケア。現在のところ、全く手がつけられていません。学校ですとスクールカウンセラーのような人が訪問するようですが、幼稚園・保育所では、皆無の状態です。自治体によっては、このような人を幼稚園・保育所に派遣しているところも出ているようですが、まだまだ少数です。

ですから、今後の道としてアメリカなどの日本人学校で、日本式の保育を行なう教諭の道もあるでしょう。ただ、海外の日本人学校は日本の文部科学省の扱いは「各種学校」になると聞いたことがあります。(確実な情報でなくてゴメンナサイ)
各企業も経済が低迷していますので、海外に支社を出すことは増える可能性、低いです。今後発展が見込めるのは人件費の安い中国・モンゴルなどでしょう。(一時期隆盛だったシンガポールは、もはや流行遅れだそうです)
おそらく生産に関してはアメリカからアジアにシフトせざるを得ない。また海外駐在員も以前のように多くなく、管理職程度で、後は全部現地採用になるでしょう。
海外の日本人学校も、英語圏は少なくなると思います。経済状況から考えると、アメリカでは将来の需要は、あまり望めないという推測ができます。

次にファミリースタディーという道ですが、不勉強のため、ファミリースタディーなるもの、私はその概要をつかんでおりません。(日本ではファミリースタディーに該当する職種はないのではないか?と思います)
ご相談文から、だいたいの様子はわかりましたが、将来の市場としては、かなり可能性があるように思われます。もし私がsariさんの立場なら、ファミリースタディーです。日本保育学会というところで、毎年5月に大会を開いています。会員になっていれば、誰でも論文を発表できます。
そこで「アメリカにおけるファミリースタディーの現状」などという論文を発表されてはいかがですか?上手くいったら、その論文が評価され、日本の大学などで教員として採用される可能性もあります。まだ日本では未知の分野だけに、そこで頑張れば第一人者になれますよ。ご自身で活動されるのもよし、アメリカで学んだことを、日本の学生に教えることもよし。こんな気がします。

以上、勝手なことを書きましたが、最終的に重要なのはsariさんが何をやりたいのか、ということです。少しきつい言い方になるかも知れませんが、なぜアメリカに行かれたのですか?日本では学べない「何か」がある。そう信じて海を渡ったのではないですか?留学というもの。観光気分ではできません。それができる実行力と語学力があったのですから、何も引っ込み思案になる必要はないと思うのです。前に進むことを考えましょう。

本当に教師の道を望まれるのなら、需要が少なかろうが何だろうが、絶対に教育の道に進むべきです。本当にやりたいものに挑戦できるのは今しかないのです。その意欲と情熱。これが若さの特権なのです。よく悩んでください。よく考えてください。
本当に自分がやりたいものは何なのか。その時間をもてるのは今です。その結果「これだ!」というものを見つけられたら…。後は一直線にその理想実現のために、ダッシュしてください。

日本の現状を知る資料としては、「遊育」という雑誌(月2回発行)があります。
幼稚園関係者でも知らないような最新情報が掲載されています。ちなみに私の情報の半分はこの雑誌からです。

ご検討をお祈りしております。また何かありましたら、ご相談ください。

(アドバイザー:井上智賀)




前のページに戻る


(C) 2001-2024 System Proceed Corporation. All Rights Reserved.
- このサイトへのリンクはフリーです。
Produced by Systemproceed