 |
ご質問ありがとうございます。旭幼稚園の井上です。「初歩的な質問で」とありますが、そんなことはありません。意外と知られていなかったり、お母様方の思い込みで間違った情報がひとり歩きしている場合もあるんです。 これを機会に、ちょっと幼稚園のことについて基本的なお話をさせていただきます。
1、幼稚園は教育機関(学校)です。 学校教育法という法律で、幼稚園は小中学校・高等学校・大学と同じく文部化学省が統括する学校であることが明記されています。(保育所は労働厚生省が管轄する施設です)その目的はこの法律に「幼児を保育し、適当な環境を与えて、心身の発達を助長することを目的とする」とあります。 様々な経験の中で、知識ではなく体験として学ぶ場所である。そして心身の発達を行う場である、ということがお判りでしょう。
2、幼稚園の設置は… 学校は公立が多いのですが、これは明治以来の学校制度がそうなっていたからです。「義務教育」として公に教育の場を保証する意味からそうなりました。でも、公立でなくとも学校は開けます。「私学」「私立」がこれにあたります。この私立学校ですが、基本的には学校法人という法人格を持ち、土地や建物を公に寄付した場合にのみ認められます。ただし学校教育法の102条によって、「幼稚園・盲学校・聾学校は当分の間、学校法人でなくとも設置を認められる」とあります。今でも宗教法人や個人立の幼稚園があるのは、これが根拠です。でも、個人立の幼稚園であっても、保育内容に関しては文部科学省の幼稚園教育要領に準拠した保育が行われています。
3、保育内容は 保育内容に関しては公立(国立・公立)は差はありません。ですが私立となりますと、教育要領を基に作成される教育課程(園の教育方針を明記したもの)は建学の精神が付加されますので、かなり異なったものとなります。 「遊びこそ命」という幼稚園、「音楽によって情操豊な子に育って欲しい」という幼稚園、「体力作りこそ基本」と考えている幼稚園、「仏教精神に基づいた保育」「キリスト教による保育」…様々です。 ですから私立幼稚園に関して言えば、100の幼稚園があれば100の方針があります。 よく吟味され、ご両親さまの教育方針にあった幼稚園に入園されることをお薦めいたします。保育ingにも「幼稚園選びの基準」などがありますので、ご参考になさってください。
4、学区について 幼稚園には学区があるかどうか。その地方によって異なります。公立(市町村立)幼稚園しかないところ(だいたい小学校に併設されている場合が多いようです)などは学区が定められているところもあるようです。私立幼稚園の場合、学区はありません。同じ区内でなければ受付しない、というものではないようです。ですからご両親様の気に入った幼稚園がベストの幼稚園と思います。
5、費用について 幼稚園の費用は保護者の方からいただく納付金(入園料・保育料・諸費)と国からの補助金とで運営されています。公立のほうが納付金が安いようです。でも、保護者の要望(給食や預り保育)への対応は遅い傾向が見られます。これも年間納付金100万円以上という超名門幼稚園から年間20万円程度の幼稚園(共に私立です)まで様々です。ご家庭には就園奨励費という補助金が、世帯の収入に応じて支給されます。これも区によって違います。国の基準(それと都の補助金)そのままというところから、江戸川区のように公立幼稚園を作らず、その費用を全て私立幼稚園の補助金に回すような区もあります。
6、いわゆる「お受験」について これは私の幼稚園では無縁な話ですので、詳しくお答えできないのですが、有名大学附属幼稚園などに入れたい、と希望される場合、その受験科目について講習させてくれる塾などがあるやに聞いております。もしそのような幼稚園をご希望の場合、それなりの受験対策が必要とも言われておりますが、実際は「今年はこんな感じの子どもに集まって欲しい」と思うと、その意向にそった子どもを合格させるらしい、との話も聞きます。塾まで行く必要があるかどうか疑問と思っています。 幼稚園の受験とはいっても、一部を除いてそんな高度なものを要求している訳ではありません。私個人としては様々なことを知っていることより、子どもらしさ・おおらかさ・優しい気持ちを持っている子どものほうが素直に保育に入ってくれるように思います。でも「お受験」について疑問があったら、お近くの「これは」と思う幼稚園に行って、詳しくお聞きになってください。
今回のご質問は基本的なことながら、お答えするとなると、かなり量が多くなってしまいました。申し訳ございません。何かのご参考になれば幸いです。
|