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別れ際の儀式・保育園に預ける時期について研究したい
私は来年度臨床心理系の通信制大学院を受験しようと思っています。
受験申し込みの際に研究計画書なるものを提出しなければなりません。
私は二人の子どもを生後2ヶ月から保育所に預けて常勤で働き続けています。
その頃からずっと思っていたことを研究テーマにしたいと思ってるのですが、保育園での別れ際の儀式として”握手でバイバイバイ”と”でんぐり返し”は何時頃誰が始めたのか、またその効用について論じられた文献はあるのかどうか、ご存知であればお教えくださいませ。

また保育園に預ける時期と言うものについても研究してみたいと思っています。
terrible twoと呼ばれる2歳前後の反抗期に母子分離(=保育園に預けること)と言う体験をするのは子どもの成長にどのような影響を与えるのでしょうか?
育児休業法が出来ていつから子どもを預けて復帰するかは母親の判断に委ねられるケースが多くなってくると思います。
2歳前後から保育園に預けられた子どもは、情緒が安定しにくいと言うような傾向は無いのでしょうか?
よろしくお願いいたします。

(Chara さん)


Chara さん、ご指名ではないのですが、ひとことよろしいでしょうか?旭幼稚園、副園長の井上です。ご相談内容を拝見し、ちょっと思ったことを述べさせていただきます。

先ず別れの儀式に関しての文献の件ですが、これについては不勉強のため見た記憶がありません。園によっても「さよならの儀式」は違うでしょう。握手のところもあれば、ギュッとだっこのところ。ハイタッチ等々様々だと思います。そんな儀式がないところもあるでしょう。
効用については「ここで○○が終わる」という「けじめ」位しか思いつきませんでした。ただ、これも儀式はするけれど、本人は納得しているか、は全く別の問題となります。これはある程度の理解力がついてから、ということになるでしょう。

保育所に預ける時期は、との点ですが、母子分離ができるのは、これもある程度の理解力が必要な年齢ということになると思います。
子どもの発達というものを考えてみますと、先ず目の前で本人が認識できるものが全てという時期があります。

ママを追いかけることを例にしましょう。
初めは自分の視界に入っていないものは「いない」という判断をしてしまう時期があります。物陰にママが消えた瞬間、泣き出します。その次に「目の前にはいないけれど、あれは物陰に隠れているだけで同じ部屋の中にいる」という判断ができるようになります。その後、この部屋にはいないけれど、お家の中にママがいる、という判断ができ、最後に「お家に帰ればママがいる」という認識ができるようになる。だから安心して外で遊べるようになるのです。
空間認識ひとつをとっても、このような発達の手順を踏むということが言えます。

その意味からすると、保育所に預けても大丈夫という時期は、このような認識ができるようになってからが理想ということになります。すると…個人差も大きいので一概には言えませんが、3歳前後から入所するのが理想だ、という結論になります。

> terrible twoと呼ばれる2歳前後の反抗期に母子分離
> (=保育園に預けること)と言う体験をするのは子どもの
> 成長にどのような影響を与えるのでしょうか?

これは実験が難しいですね。このような場合、例えば一卵性双生児で全く同じDNAを持つ子どもの1人を早くから保育所に預け、もう一人は母親の基で育て、その違いを検証するのが一番確実な実験方法ですが、何かで失敗した場合。その責任を誰がどのような形でとるのか。もし心に深い傷を負った場合、アフターフォローできるのか。そう考えた場合、いくら研究のためとはいえ実験できるものではないと思います。もし、そんな実験をしようとする所があったら、私は大反対。すぐ裁判所に実験中止の仮処分申請をするでしょう。

> 育児休業法が出来ていつから子どもを預けて復帰するかは
> 母親の判断に委ねられるケースが多くなってくると思います。
> 2歳前後から保育園に預けられた子どもは、情緒が安定しにくい
> と言うような傾向は無いのでしょうか?

たしかに育児休業法はできました。でもこれを100%消化できるのはごく一部の大手企業と公務員くらいと言われております。企業にとってみれば1年も休まれては仕事にならない。これも資本主義社会では仕方のなことと思います。例えば市町村単位、もしくは複数の市町村で作った地区単位で、このような育児休業中の労働力を確保する意味で、学校の産休補助教員のような人員登録制度を作るとか、育児休業中の方への「休業補償」のような制度を確立していかないと「法はできたが使えない制度」になってしまう可能性もあります。

その次に、情緒の安定という点では0歳児から保育所で生活した子どもと、3歳頃から幼稚園で過ごした子どもとの比較。一概には言えないと思います。個人差もあります。保育所・幼稚園以外での環境というものも作用するでしょう。
小学校の先生に言わせると「保育所の卒園生はどうも…」という人もいれば「幼稚園・保育所の卒園生はそんなに変わらない。むしろ幼稚園・保育所の方針の違いのほうが大きく作用しているように思う」という人もいます。

あまり参考にならなかったかも知れませんが、大学院で専門分野の研究をされること、とても素晴らしいことだと思います。ぜひ頑張ってよい研究をされてください。
もし日本保育学会などで発表されるときは、私にも聞かせてくださいね。

(アドバイザー:井上智賀)


こんにちは、Charaさん。はじめまして、浜田です。
発達の勉強はしていますが、保育所に長く勤務しているだけで、臨床心理士でもなく発達心理の専門家でもありません。
なので、相談に対してのお返事になっていないかもしれませんが、思う事を書きます。

別れ際の儀式について
登園した時、母親(父親等)と分かれる時にしている仕草や言葉はかなり千差万別ですが、バイバイ、握手はしていますね。さすがにでんぐりがえりを別れ際にする親子はあまりというかほとんどみません。
でんぐり返りは、ママに(パパなど)場所と時間の余裕がないと、楽しいけど危険なのでなかなか保育室の前ではちょっとできにくいかなと思います。
でも、Charaさん親子は別れ際の儀式としてされているのでしょうか?
楽しそうですね。

効用としては、やはりこの儀式で生活の切り替えを自分自身に言い聞かせる効果があると思います。
同じパターンを通過すると安心して保育室に入れるという事は小さい年齢の子には特に多く見られます。
しかし、3,4歳くらいになってくると、言葉で頭の中にイメージをして自分に言い聞かせる事ができるようになってくるので、儀式がほとんど見られなくなりますよね。個人差があるとは思いますけれど・・。

小さい時から保育園に預けると心配だとか情緒不安定云々が言われる事があるかもしれませんが、保育所に働く保育士として、これは預けたからではなく(母子分離)子どもが育つために必要なその子を愛する心が周囲の環境に少なかったからだと私は思っています。

実際、専業主婦で子育てをしていても虐待がたくさん起きています。
ですから保育所に預けられて時間的に母子分離があっても、精神的には愛情という絆で繋がっていれば、子どもの成長に母子分離が悪いとは思えません。
その子の周囲の人間=親、祖父母、近隣のおじさんおばさん、友達、先生等の愛情あふれる「心」があれば、母子分離が情緒不安を引き起こす原因とばかりは言えないと思います。

実際に、ボランティア活動の中で、3歳の子がはじめて親から離れてボランティと一緒に山登りをしたり、1泊しました。
親から離れることで育つ事があるなと、私達は実感しました。
また、1歳児クラスですので、現在2歳10ヶ月から2歳の子たちですが友達とのおさんぽは楽しく1時間くらいあるけます。
あちらこちらの犬を見たり、お寺のおじぞうさんに挨拶をしたり、好きな先生や友だちと一緒に楽しそうです。

保育所に預けて働く事が、母親の子どもへの愛情が不足しているとか、子どもの情緒が不安定であると、思われがちなことはとても残念に思います。

2歳前後の子どもさんを反抗期とか「せなけいこさん」の絵本にある「いやだいやだ」のルルちゃんだとか、怪獣期だとさえいう人もいます。
2歳前後で親の言う事を素直に聞く子は皆無でしょう。
親子で一緒にいると、かなりのママは言う事をきかないことや反対ばかり自己主張する思い通りにならない我が子にイライラすると思います。
また子どもだって、「ダメ、イケマセン」ばかりではストレスがたまります。ですから寧ろ、私はお互いの為にも少し距離を置くような母子分離(保育所)を有効に使えたらなと思います。

そんな2歳前後の子どもに振りまわされているママのためにも、リフレッシュができるように一時保育や親子教室などがあります。
昔は母子分離はわざわざしなくてもいいくらい、周囲の大人や大きい子どもたちが小さい子の面倒を見てくれていましたが、今はそんな地域の自然な繋がりはほとんどありません。

子どもの発達の道筋は昔も今の違いませんが、子育て環境は随分変化してきていることは認識しているとおりです。
ですから、意図的に母子分離をして親子関係が煮つまらない様にする事だって必要です。

参考にならないかもしれませんが、保育所勤務の一保育士の思いです。

(アドバイザー:浜田栄子)




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